わからない、と言うことがわかって安心しています。

世の中のものごとについてあなたがわかることって何ですか。何がわかりましたか。あなたにハッキリものごと言い切られると、こちらで狼狽、赤面してしまいます。

俺は自信を持っています。世の中のものごと俺には何もわからないという自信です。笑っちゃいけない。苦虫噛み潰したような顔して深刻ぶって考えた末、結局わからないのです。例えば、生活。起きて、活動して、眠る。その繰り返しを見つめてみても、その楽しさとか、どうやら究極的には意味が無いらしいこととか、どれも実感としては腑に落ちない。

俺には最も単純の知識さえ足りません。漢字、熟語、故事成句。かろうじて読めはしても、書けません。この稚拙なみじかい散文は、いっしょうけんめいがんばってようよう形にしているに過ぎません。

無知蒙昧、見聞狭しと自分を戒めなきゃならない。だけどあなたはわかってらっしゃる。あなたは俺に教える。ああそうなのか、そうかもしれないとあなたの断言俺には力なく首肯せられて、しかしその日の床に就いてから疑問の目。ひねくれものが鎌首持ち上げ、にわかに猜疑心高まりいよいよ眠れなくなるという段。

事ここに至り、俺は叫ぶ。あなたの言葉は信用できない!もう頼っちゃいられねえ。

立ち上がり五里霧中、勝利、信頼、幸福、倫理、杳として知れず、前後不覚、浮き足だってふわふわ彷徨のてい。甚だ不体裁で閉口しますが、ええ、ですが近ごろは、それで良いのだという気持ちを大事にしたく思っています。